【日本酒事始め】日本酒は酒器と愉しむ!代表的な素材の特徴や選び方を解説!!

前回の記事「日本酒の味は温度で変わる!お酒を美味しく呑むための冷やし方・温め方を紹介!」では、日本酒を飲む時の『温度』について解説しました。
今回の記事では、日本酒を飲む時には欠かせない、『酒器』ついて紹介していきたいと思います。

 

酒器は、主にお酒を取り分けたり、飲んだりする際に使う入れ物です。
日本酒を飲むときには「注ぐための酒器」、そして「飲むための酒器」が必要になります。
普段お店などで目にする酒器といえば、お猪口やグラス、徳利や片口などが代表的ですが、現代ではその他にも様々な器が使われるようになっています。

そこで今回は、日本酒は酒器と愉しむと題して、酒器の代表的な素材や特徴、選び方を解説します。
酒器を理解すれば、より日本酒を愉しむことが可能になるでしょう。

 

日本酒を楽しみたいなら酒器にもこだわろう

日本酒を飲むときに欠かせないのが”酒器”です。

酒器には、お猪口やグラスなど『飲むため』の酒器と、徳利や片口など『注ぐため』の酒器があります。
そして、酒器の材質や大きさ、形状には多くの種類があり、それぞれ特徴が異なります。

また酒器は、日本酒の「色」「香り」「味わい」「飲み口」の感じ方を変えてくれる存在です。
器の材質が変わると唇に当てた時の感覚が変わりますし、形状が変わると香り方や味わいが変わります。
また、器の色が変わればお酒の印象も変わってきます。

食べ物やお酒は味覚だけではなく、五感全てで味わうものなので、日本酒をより良く味わうためには、酒器は欠かせない存在なのです。

 

酒器の素材

以下に、酒器に使われる素材をまとめてみました。

【酒器に使われる素材一覧】

土製 粘土 陶器(※)
長石等を含む粘土 炻器(せっき)(※)
石製 主に陶石 磁器(※)
ガラス製 ソーダガラス、クリスタルガラスなど
木製 杉、檜、竹、漆塗り(漆器)など
金属製 金、銀、錫、チタンなど
その他 プラスチック、シリコンなど

(※) 「陶器」「炻器」「磁器」を併せて「陶磁器」と呼ぶことがある。

まずは『飲むため』、『注ぐため』の酒器にどんな素材が使われているのか知っておきましょう。

 

土製酒器(粘土、長石などを含む)

「陶器」と「炻器」に分けられます。

 

陶器

陶器は、粘土で形を作り、表面をなめらかにした後、液体や気体が染み込まないように釉薬(うわぐすり)を塗って焼き上げたものです。

代表的な陶器としては、陶磁器を指す一般名詞として使われる『瀬戸物』の由来となっている「瀬戸焼」や、たぬきの置物が有名な「信楽焼(しがらきやき)」が挙げられます。

陶器の特徴としては、以下のものが挙げられます。

【陶器の特徴】

  • 吸水性がある
  • 厚みがある
  • 質感が柔らかい
  • 温かみのある印象

 

炻器

炻器(せっき)は「焼締(やきしめ)」とも呼ばれます。

長石などを含んだ粘土を使用して造られるもので、釉薬(うわぐすり)を使うこともあれば、使わずに焼き上げたものも存在します。

「陶器」との違いは、材質の違いだけではなく、透光性(光を通すが、通る時に光が拡散されるため材質の向こう側を見ることができない性質のこと)と吸水性(水を材質の中に吸収する性質のこと)がないものは「炻器」、透光性はないが吸水性はあるものは「陶器」と分類されます。

炻器で有名なものとしては「備前焼(びぜんやき)」などがあります。

特徴としては以下のものが挙げられます。

【炻器の特徴】

  • 吸水性がある
  • 厚みがある
  • 質感が硬い(軽く叩くと高い音がする)
  • 素朴な印象

 

石製酒器(陶石を含む)

石の粉と粘土を原料とした陶石を使用した酒器を「磁器」と呼びます。

作り方としては、まず「ろくろ」や「へら」を使って陶石の大まかな形を造り、乾燥させてから装飾を施します。
その後、一度素焼きしてから釉薬をかけ、次は高温で焼き上げます。
最後に、絵付けなどを行い、再び焼き上げれば完成です。

代表例としては、「青磁」と呼ばれる、青っぽく光沢のある器が挙げられます。
また、「有田焼(ありたやき)」「九谷焼(くたにやき)」など、絵柄の入ったものも有名です。

特徴としては以下のものが挙げられます。

【磁器の特徴】

  • 吸水性がない
  • 質感が硬い(陶磁器の中で最も硬く、軽く弾くと金属音がする)
  • 表面がなめらか
  • 涼しげな印象

基本的に陶器とは正反対の特徴を持っています。

磁器の中でも白素地に無色の釉薬を塗ったものを「白磁器(はくじき)」、青みがあり水色に見えるものを「青白磁器(せいはくじき)」と呼ぶので覚えておくとよいでしょう。

 

ガラス製酒器

ガラスは、石や砂から取り出した珪砂(けいしゃ。砂の中で光っている粒)、ソーダー灰(炭酸ナトリウム)、石灰石を1,500℃の窯の中で溶かし、形を整えて造られるものです。

特徴としては、以下のものが挙げられます。

【ガラス製酒器の特徴】

  • 中が見える
  • 吸水性がない
  • 質感が硬い
  • 涼しげ・冷たい印象がある

ガラスは、軽くて硬い「ソーダガラス」、軟らかくて重い「クリスタルガラス」、軽くて硬く耐熱性もある「ホウ珪酸ガラス」に分けられます。

ガラス製酒器といえば、ビアグラス、ビアジョッキ、ワイングラスなど、酒類ごとに代表的なグラスが存在しており、近年では日本酒専用のグラスも登場しています。

また、グラス以外のガラス製酒器として有名なのが「切子」です。
華やかな見た目が特徴的で、日本では昔から愛されてきました。
こちらは後ほど詳しく解説します。

 

木製酒器

「木製酒器」は、杉や檜、竹などの植物を使用して作られた酒器です。

その中でも、木製製品に漆を塗り重ねたものは「漆器」と呼ばれます。
漆器はアジア各地で作られる工芸品ですが、ヨーロッパでは特に日本の漆器がもてはやされ、その模倣品は「ジャパン」と呼ばれたというエピソードがあるほど、日本の工業品として代表的なものです。

木製酒器の特徴としては以下のものが挙げられます。

【木製酒器の特徴】

  • 軽い
  • 吸水性がある
  • 素材の香りがある
  • 質感が非常に柔らかい
  • 温かみのある印象

代表的な木製酒器としては、石川県能登半島の「輪島塗」や、蒔絵で名高い京都府の「京漆器」などが挙げられるでしょう。

 

金属製酒器

金や銀、錫やチタンを作って作られた酒器です。

日本酒用としては、金や銀などよりも、錫(すず)やチタンで作られているものが多いそうです。
錫やチタンは金属臭が一切しない金属なのだそうです。

また、金属は高いイオン効果で不純物を吸収し、日本酒の味わいをまろやかにするといった説が存在するそうです。

特徴としては以下のものが挙げられます。

【金属製酒器の特徴】

  • 重量感がある
  • 熱伝導に優れている
  • 腐食が少ない
  • 涼しげ・冷たい印象がある
  • 高価

代表的な金属製酒器としては東京都の「東京銀器」、大阪府の「大阪浪華錫器」」などがあります。

 

その他

酒器には、ここまで紹介した素材以外にも、プラスチックやシリコン、アクリルなどを使ったものが存在します。

特徴としては、軽い、壊れにくい、比較的安価である点などが挙げられます。

 

日本酒を『飲むため』の酒器

続いて、猪口を中心に日本酒を『飲むため』に作られた酒器を紹介します。
こうした飲むための酒器は「盃(さかずき)」または「杯(さかずき)」と呼ばれます。

 

猪口

日本酒を飲む際に使う小ぶりな酒器を「猪口(ちょこ)」と呼びます。
名前の由来は「ちょっとしたもの」や安直などを示す”ちょく”が転じて付けられたと言われています。
主に燗酒を飲む際に使われてきた背景もあり、徳利とセットになっていることが多いです。

猪口には、これまで紹介してきた、陶器製、磁器製、ガラス製、木製、金属製など幅広い種類が存在します。
形状も、口径と底の直径が同じもの、違うものなどさまざまですが、その中でも、「平盃(ひらはい)」と呼ばれる、浅く広い形状のものが日本酒用として好まれてきました。

猪口は、口径の大きさや厚みによって、味わいの感じ方が異なるのが特徴です。
例えば、直線的で背の低いものは香りが感じにくい場合があります。

また猪口の中には、杜氏や蔵人が使用する唎酒用のものがあります。
猪口の底部に濃い青色の同心円模様(蛇の目)が存在し、日本酒の色合いが判別しやすいように作られています。

もともとは、全国新酒鑑評会の審査員が使用していたものですが、それが杜氏や蔵人の間でも使われるようになり、日本酒の味の分かる人が使う酒器としてのイメージが定着したため、飲食店で日本酒らしさや日本酒へのこだわりがあることなどをアピールするために、使われるようになったようです。

 

ぐい呑み

ぐい呑みは、猪口に似た『飲むため』の酒器です。
猪口との明確な区別は、サイズの大きさ程度と言われています。
ちなみに、ぐい呑みと呼ばれる特徴的な名前は、「ぐいっと呑める」「ぐいぐい呑める」ことから名付けられました。

 

枡または升は、液体や穀物などの量を計るために作られた四角い器です。
木材で作られる酒器であるため、木の香りが強いのが特徴です。

江戸時代までは、この桝を使って、税金である年貢として納める米の量を計算しており、非常に重要な器でした。
規格外の枡を作ったり使用したりすることはご法度で、犯した者には死刑が課せられていました。
そんな経緯もあって、枡の形は立方体のものがほとんどです。

ここでは、枡を飲むための酒器として紹介していますが、上記のように本来は計量器具であり、基本的にお酒を飲むものとして作られているものではありません。
そのため、日本酒を枡で飲む場合は、飲み口が直線的になっており、少し飲みにくいです。

盛切(もっきり)と呼ばれる飲み方

日本酒を枡で飲むといえば、現在では、飲食店で、枡の中にグラスを入れて、目の前で日本酒を注ぎ、グラスから溢れさせる提供方法で使われることが多いと思われます。

この飲み方は、「盛切(もっきり)」といいます。
今では「枡酒」と呼ばれることの方が多いかもしれませんね。

この飲み方は昭和30年代頃から用いられるようになった飲み方で、グラスの容量以上に飲めることから大人気となりました。

盛切(もっきり)という名前は、「酒や飯などを容器に盛っただけで、お代わりのないこと」から付けられています。

ただ、近年では、グラスが持ちにくい、手やテーブルに日本酒が付く、そもそもの話として、枡の飲みにくさを解消する飲み方ではないため、コスパを強調する居酒屋さんなどで見かけられる程度の提供方法となっています。

 

グラス

素材にガラスを用いた酒器がグラスです。

お酒の特徴を引き出せるよう、口径や形にこだわって作られていることが多いです。

基本的にグラスは、ワインやブランデーを飲む際に使用するケースが多く、日本酒用のグラスとして定番化されているものはありません。

そのため、グラスメーカーが大吟醸用や純米酒用など、お酒の特徴を引き出せるように工夫した独自のものが作られています。

 

切子

切子はガラスの表面にカットを施す技術のことですが、それが転じて、そうした技術が施されたガラス製品のことも指します。

主に酒器用として開発されており、鹿児島の「薩摩切子」、東京の「江戸切子」が有名です。

どちらも特徴のある外観をしていますが、薩摩切子は主に大名の鑑賞用に作られていたため、色の付いた層が厚く重厚な印象があります。

一方、江戸切子は色の付いた層が薄く、華やかな印象を持っています。

 

日本酒を『注ぐため』の酒器

続いて、日本酒を『注ぐため』の酒器を紹介します。

有名な『注ぐため』の酒器といえば、「徳利」や「片口」などですが、これ以外にも存在します。

 

銚子

日本で古来から使われてきた酒器が「銚子」です。

神事や三三九度、節会などが用いられてきました。

注ぎ口と長柄が付いた見た目が特徴的です。

 

徳利

徳利は、江戸時代に入ってから普及した酒器です。

元々は、醤油や酢などを蓄える陶器製の壺のことを徳利と呼んでいましたが、庶民が日本酒を飲むようになり、銚子よりも手軽に使える上に、燗に浸けやすい形状であることから、日本酒を『注ぐため』の酒器として人気となりました。

現在では、銚子と徳利は同意語として使われる場面が多いですが、元々は別の容器でした。

 

片口

片口は、器上部の丸い部分から注ぎ口が突き出た器のことです。

注ぎ口が片側だけにあるため、この名称が付けられました。

『飲むため』の酒器と並べると、和を印象付ける見た目が良く、演出効果が高いです。

ただし、口径が広いため、銚子や徳利に比べるとお酒が酸化しやすく、香りも発散しやすいです。
利用する際は、飲むペースに合わせて、あまり長い時間、片口にお酒を入れておかないようにしたほうがよいでしょう。

 

ちろり

ちろりは、金属で作られた燗用の酒器で、容器ごとお湯に浸けることができます。

江戸時代頃から存在し、銅製、錫製、アルミ製のものがあります。

気になる「ちろり」という名称は、「地炉(ちろ。囲炉裏のこと)で温めるから」「ちろりと短時間で温まるから」といった説があるそうですが定かではありません。

中国にも同じような酒器があることから、中国から渡来したものと考えられています。

 

日本酒を飲むのに最適な酒器を選ぶ4つのポイント

最後に、日本酒を飲むのに最適な酒器を選ぶ4つのポイントを紹介します。

ここまでにも少し紹介していますが、お酒の味は酒器によって感じ方が異なります。
日本酒の特徴に応じて、それぞれに合った酒器を選ぶと、お酒の楽しみ方がさらに広がりますので知っておくとよいと思います。

 

色合いから素材を選択する

日本酒は無色透明なものがほとんどですが、種類によっては、黄色や茶色のものもあります。
酒器を選ぶ際には、こうした色合いから素材を選択するのがおすすめです。

無色透明のグラスならどの素材の酒器にも適応しますが、より透明感を演出したい場合は、カット入りの透明グラスがいいでしょう。

お酒の色が黄色や茶色なら、透明グラスや白磁器の酒器を使うことで色合いが明確に伝わります。
一方、茶色や黒色系の陶器を使うと、くすんで見えるので注意してください。

また、にごり酒のような固形物を含む日本酒は透明グラスと相性が悪いです。
飲んだ後に固形物がグラスにくっついて、見栄えが悪くなるからです。
にごり酒などを飲む時は、色のある素材の酒器を使うようにするとよいでしょう。

 

香りを考慮して形状を選択する

お酒の香りの感じ方は、酒器の形状によって異なってきます。

例えば、ラッパ型や湾曲性の高い形状は香りを感じやすいですが、小型かつ直線的な形状は香りを感じにくくなります。

そのため、香り高いお酒には、ラッパ型や湾曲性の高い形状の酒器を使い、香り控えめなお酒には小型・直線的な形状の酒器を使うとよいでしょう。

基本的には、上記のような選び方がおすすめですが、あえて香りの少ない日本酒にラッパ型や湾曲性の高い形状を合わせて、香りを引き出すといった飲み方も存在するので、お酒の特徴に合わせていろいろと試してみてください。

 

温度帯で大きさを選択する

酒器の大きさによって、酒器に注がれたお酒の温度変化のスピードが変わってくるため、温度帯と酒器に注ぐお酒の量に応じて酒器を選択することがあります。

冷たい日本酒は、小ぶりの酒器に注いで外気との接触面積を小さくすることで、温度の上昇を緩やかにすることができます。
また、冷やしたグラスを使ったり、熱伝導に優れる金属類や錫やチタンを使ったりする選択肢もあります。

燗酒の場合にも、口径が小さい酒器を使って熱を逃がさないようにするのがよいでしょう。
材質も、陶器製のものにすると、器が熱を蓄えてくれるので温度変化のスピードを緩めてくれます。

一方、常温の日本酒は温度が関係ないので、大ぶりの酒器でも問題ありません。

このように、日本酒の温度帯によって、酒器の大きさを変えることで、温度変化を抑えてお酒を楽しむことができます。

 

味わいから口径の大きさを選択する

お酒の味わいの濃淡は、口径部分(口に当てる部分)の形状によって感じ方が異なってきます。

口径部分を薄いものにするとスムーズな飲み口が強調され、逆に、口径部分が厚みのあるものにすると重厚な感じが増します。

また、口径部分が小さなものにすると軽快な感じが増し、口径部分を大きくすると旨みやコクが強調されます。

 

以上を踏まえて、日本酒のタイプ別におすすめの酒器を分類すると、以下のようになります。

 

【日本酒タイプ別のおすすめ酒器】

日本酒のタイプ 適した酒器の形状 酒器の例
薫酒 湾曲性の高い形状、上部に向けて広がった形状 ブルゴーニュ型ワイングラス、ラッパ型ワイングラス
爽酒 特になし 猪口、切子、フルートグラス

※冷やして飲む場合

醇酒 口径が厚く、大きいもの ぐい飲み、平盃、口径の広いワイングラス
熟酒 湾曲性の高い形状 猪口、ぐい飲み、ブランデーグラス、シェリーグラス、ショットグラス

 

まとめ

代表的な酒器の素材の特徴や選び方を紹介しました。

普段何気なく利用している酒器ですが、実は色々な素材のものが存在します。

加えて、素材ごとに特徴が異なるので、酒器を選択する際には、本記事で紹介した、酒器ごとの特徴を参考にしてみてください。

また日本酒を飲む際は、味のタイプに合わせた選び方も知っておくと便利です。
ここまでのシリーズで日本酒について詳しくなったら、ぜひ酒器の素材や特徴、選び方も覚えておいてください。
他のお酒でも応用できますし、少し通な気分も味わえて、楽しくお酒を飲めると思います。

 

次回は、第8回「季節を味わう!特別な日本酒の種類を紹介!」です。

 

【参考文献】
日本酒サービス研究会・酒匠研究会連合会(SSI) 著『新訂 日本酒の基』 NPO法人FBO 2018年

 

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