【日本酒事始め】日本酒の味わいは8つの要素で決まる!通になるための知識を解説!

前回の記事「日本酒の味は「4つのタイプ」に分けられる!」では、日本酒の味は、「薫酒」「爽酒」「醇酒」「熟酒」の4つのタイプに分けられる!というお話をしました。
今回の記事では、その4つのタイプからさらに一歩進んで、個々の日本酒の『味わい』について、お話していきたいと思います。

日本酒の味わいを簡単に表したものといえば「甘口」や「辛口」といった表記です。
こうした表記は、お店で日本酒を頼む際のメニューや日本酒のラベル部分に記載されています。

前回の記事でも書きましたが、お酒における「甘口」「辛口」とは食べ物の場合におけるような「甘みのあるもの」「香辛料の刺激が強いものや塩っ気の強いもの」をいうのではなく、甘口とは 「糖分が多いもの・アルコールの刺激が弱いもの」、辛口とは 「糖分が少ないもの・アルコールの刺激が強いもの」のことをいいます。

この甘口や辛口は「甘辛度」といい、日本酒の味わいを表現する代表的な言葉ですが、日本酒の味わいには、この他にも、「アタック」「テクスチャー」「余韻」など、さまざまな言葉で表現されます。

そこで今回は、日本酒をより深く味わえるようになるために、『味わい』に焦点を当てて紹介していきます。
日本酒独自の細やかな味わいについて知識を深め、少し通な気分を味わいましょう!

 

日本酒の味わいは8つの要素から決まる

日本酒サービス研究会・酒匠研究会連合会(SSI)が執筆している「唎酒師」のテキスト「新訂 日本酒の基」(NPO法人FBO、2018年)に掲載されている、「唎酒師のテイスティング」の章を参照すると、日本酒の味わいは主に以下の8つの要素で評価しています。

【味わいの評価基準】

評価要素 内容
健全度 味わいが劣化していないかどうか
アタック 口に含んだ際の印象や感覚
テクスチャー 飲み口のイメージ
具体的な味わい 旨味を中心とした特徴的な要素
甘辛度 甘口と辛口の度合い
含み香 口に含んだ際の香りの発現性
余韻 最後に残る味わいの長さ
複雑性 上記全ての要素を考慮した味わい

基本的に、日本酒を表現する言葉は、上記の8つの要素のどれかに該当します。
例えば、「甘口」や「辛口」は”甘辛度”、「すっきり」や「ふくよかな」は”具体的な味わい”に当たる表現です。

SSIではテイスティングを行う際、これらの評価基準を元に、日本酒の味わいを評価しています。
そこで、今回はこの8つの評価基準を通して、日本酒の味わがどんな要素で構成されているのかを解説していきます。

 

1. 日本酒の味わいを「健全度」で評価する

健全度とは、品質の劣化の有無を判定する評価要素のことで、「健全」か「不健全」かで評価します。

ただ、味わいで健全度を評価するのは難しいです。
日本酒は、飲むための目安として賞味期限が定められていますが、過ぎたからといって味が強烈に劣化するわけではありません。

そのため、味わいの健全度を見る際は「外観(色)」や「香り」と合わせて考える必要があります。

例えば、外観の健全度を評価する場合は、日本酒自体の色を見ます。
濁りがなく澄んだ状態なら健全、濁りがあり変色している場合は不健全という評価です。

外観は、日本酒自体にカビが生えている場合、白く変化することがあります。
また、香りは、高温で長期間保存した場合、老香(ひねか)と呼ばれる独特の香りが出る可能性があります。
健全度を判定するときには、このように、日本酒の外観や香りの変化ともに評価をしていきます。

ちなみに、日本酒は開栓しない限り、劣化することはほとんどありません。
カビが生えるのは、劣化ではなく開栓時に混入した菌が原因です。
また、老香も高温状態が続いた際に出る香りです。
適切な方法で保存しておけば、日本酒の健全度が著しく損なわれることは、まずありません。

 

2. 日本酒の味わいを「アタック」で評価する

アタックとは、日本語で攻撃という意味ですが、口に含んだ瞬間の印象や感覚の強弱のことで、日本酒を「弱い」「やや弱い」「中程度」「やや強い」「強い」で評価します。

基本的に、爽やかで飲みやすいお酒はアタックが弱いといえます。一方、コクや酸味のあるお酒はアタックが強いといえます。

細かいアタックの強弱は、実際のお酒によって異なるため、テイスティングした際に確認してください。アタックは飲んだ際の第一印象が大切です。

 

3. 日本酒の味わいを「テクスチャー」で評価する

テクスチャーとは、飲み口のことで、日本酒を「軟らかい」「硬い」「キメが粗い」「キメが細かい」といった言葉で評価します。

「テクスチャー」という単語自体は、ものの表面の質感や手触りなどを表す言葉で、ラテン語の「織る」や「編む」という意味のTexo(テクソ)が語源となっています。

テクスチャーでは、日本酒を「軟らかい」「硬い」「キメが粗い」「キメが細かい」で評価します。

テクスチャーは時間経過により大きく変化します。

一般的に時間経過による熟成が行われると、テクスチャーがまろやかになります。
ただし、熟成させたことにより、まろやかになるという科学的根拠は解明されていません。

その他にも、時間経過により各種成分が加わると、外観や香りだけでなくテクスチャーが変化します。

 

4. 日本酒の味わいを「具体的な味わい」で評価する

具体的な味わいとは、そのまま、そのお酒の具体的な味わい、味の特徴のことです(笑)

もう少しいうと、「味わい」とは、「旨味」「甘味」「辛味」「酸味」「苦味」「渋味」などの基本的な味覚のうち、どれが感じられるのか、それとも、複数の味覚が同時に感じられるのか、または、その感じられる味覚の強さ・弱さとか、心地よさなどを評価したもの、といえるでしょう。

日本酒の場合には、特にこの内の「旨み」が大切で、この旨みの強さ弱さ、よいものなのか悪いものなのかを判定するのが、日本酒の味わいを伝えることになるのかなと、個人的には思っています。

日本酒を飲む際に味わいの特徴を理解しておくと、自分の好みの日本酒を選ぶ際に参考になりやすいです。

以下では、代表的な6つの味わいについてさらに詳しく解説しています。
ちょっと長く、また、専門的な話が多くなっていますので、そういうのは苦手だったり、まずはざっと基本的なことを把握したいという方は、以下を飛ばして次の「5.日本酒の味わいを「甘辛度」で評価する」に進んでください。

旨味

日本酒の味わいの核となるのが旨味です。
日本酒に含まれている旨味には、「アミノ酸」や「コハク酸」などがあります。
中でも、アミノ酸は約20種類含まれているといわれています。

旨味成分の多い日本酒は「コクのある」「濃醇な」「フルボディ」と表現し、旨味成分の少ない日本酒は「スッキリした」「淡麗な」「ライトボディ」などと表現されます。

こうした旨味は、米に含まれる成分を麹菌が分解することによって生成されます。
米に含まれるタンパク質が、麹菌が生成する酵素のプロテアーゼやペプチターゼによって分解され、アミノ酸となるのです。

甘味

日本酒の甘味は「ブドウ糖」が主成分で、米のデンプンを麹菌が糖化することで生成されます。
ブドウ糖が多いと、その日本酒はコクや濃醇さのあるものになり、飲み口はまろやかでなめらかになります。

ブドウ糖は他の糖分に比べると甘味成分が控え目です。
そのため、日本酒の甘口は甘味度は低く、ワインの甘口と飲み比べてみると、甘味が少なく感じられます。

【糖分の比較】

糖分 多く含まれるお酒 由来 甘味
果糖(フルクトース) ワイン(※) 果実 甘味度が高い(低温でも甘い)
ショ糖(スクロース) ラム酒 サトウキビ 甘味度が高い
ブドウ糖(グルコース) 日本酒 果実、糖化されたデンプン 甘味度が低い

(※) 果糖(フルクトース)だけでなく、ブドウ糖(グルコース)も比較的多く含んでいます。

ちなみに、ワインにもブドウ糖が含まれていますが、日本酒よりも飲み口が甘いです。
その理由として、ワインにはブドウ糖とともに「果糖」が含まれていることが挙げられます。
この2つの糖により、日本酒よりも甘口の甘味度が高いのです。

辛味

日本酒には「辛味」は含まれていません。
辛味の成分には、
・ワサビや辛子など、鼻にツーンとくる硫化アリルやアリルイソチオシアネートなどの「アリル化合物」の作用によるもの
・舌に熱さや痛みのような刺激を与えるカプサイシンやピペリンなどの辛み成分に由来するもの
がありますが、日本酒には、こうした辛み成分は含まれていません。

酸味

日本酒の酸味は「乳酸」「リンゴ酸」「クエン酸」などです。
乳酸は、乳酸菌が生成し、リンゴ酸やクエン酸は、アルコール発酵中に酵母(こうぼ)が生成します。

【各酸味の特徴】

名称 含まれるもの 特徴
乳酸 乳製品 漬物などの発酵食品 穏やかな酸味
リンゴ酸 リンゴなどの果実 あっさりとした酸味
クエン酸 柑橘系の果実 やや苦みのある酸味
酒石酸 ブドウなどの果実 刺激のある酸味

日本酒の裏ラベルには、酸味を表す「酸度」が記載されていることがあります。
「酸度」は、1.0〜2.0位の範囲で示されており、数値が高いほど酸味が強く、低いほど酸味が弱くなります。

基本的に、酸度が高いと辛く濃く感じ、酸度が低いと甘く淡く感じます。
なお日本酒に含まれている酸の量は、白ワインの8分の1程度です。
白ワインは酸味が特徴的なお酒ですが、日本酒の特徴は酸味ではない、と言えるかもしれませんね。

苦味

日本酒の苦味は「アルコール発酵中」に生成されます。
苦味があると、口当たりにシャープさを与えるので、ドライに感じる要因となります。
また、コクや厚みを与える場合もあります。

苦味はできるだけ少ない方がいいように感じますが、味わいにシャープさを与える重要な存在です。
各味わいにバランスよく苦味が入ることで、日本酒自体の味わいが引き締まります。

渋味

基本的に、日本酒には渋味が含まれていません。

渋味の多いお酒といえば赤ワインが代表的です。
赤ワインはタンニンという苦み成分が含まれているブドウの皮や種も利用して醸造するため、あの独特な渋みを持っていますが、米にはそうした渋み成分がないため、日本酒には渋みが含まれないわけです。
ただ、日本酒を木樽で貯蔵したお酒の場合には、樽の木材に存在するタンニンによって、渋みが生成されることがあります。

 

5. 日本酒の味わいを「甘辛度」で評価する

甘辛度とは、そのお酒の甘口・辛口の程度に関する評価です。

SSIは甘辛度を「甘口」「中甘口」「中程度」「中辛口」「辛口」の5段階で評価しています。
このサイトのデータベースでは「甘口」「やや甘口」「中口」「やや辛口」「辛口」という言葉を使っています。

日本酒の「甘口」や「辛口」を表す指標として「日本酒度」というものが使われることがあります。
これは、日本酒を同じ量の水と比べたときの重さのことで、この日本酒度が高いほど、「辛口」のお酒、日本酒度が低いお酒ほど、「甘口」のお酒とされています。

甘口と辛口はそこまでこだわらなくてもいい?

お酒の「甘口」「辛口」は「糖分が多い/少ない、アルコールの刺激が強い/弱い」を意味します。
アルコールは糖分が発酵することで生成されるため、一般的に、お酒の中に糖分が多いということは、生成されたアルコールの量が少ないということで、その分、アルコールの刺激は弱いということになります。
逆に、お酒の中に糖分が少ないということは、生成されたアルコールの量が多いということで、その分、アルコールの刺激が強いということになります。

さて、この日本酒の甘口・辛口を判定する尺度として「日本酒度」というものがあります。
これはどういうものかを少し解説しておきましょう。

同じ量の水とアルコールの重さを比べると、アルコールの方が重さは軽くなります。
ということは、生成されたアルコールの量がより多い「辛口」のお酒の重さはより軽くなるということになります。
逆に、生成されたアルコールの量がより少ない「甘口」のお酒の重さはより重くなるということになります。

「日本酒度」とは、この性質を利用して、水と同じ比重となる場合を0とし、水よりも軽くなる(=アルコールが多い)場合をプラス、水よりも重くなる(=アルコールが少ない)場合をマイナスとして、「甘口」「辛口」を判定するための指標なのです。

ただ、お酒を飲んで甘いと感じるか、辛いと感じるかは、アルコールの量だけで決まるわけではなく、うまみ成分の多少や、個人の感じ方、感じたことの表現の仕方によるところもあるため、日本酒度のみでは判断できません。

日本酒は甘口でも辛口でも米由来の甘味を持っており、また、アルコール由来の辛味の余韻も持っています。
さらに、日本酒は他の酒類に比べると、旨味を核とした甘味が含まれています。
そのため、辛口の日本酒でも甘味を感じてしまい、甘口辛口の判定が曖昧になってしまうのです。

他にも、華やかな香りの薫酒は、特徴的な風味から甘味を感じやすく、醇酒は旨味が多いと甘味を感じやすいです。
こうしたことから甘口と辛口の判定は難しいため、甘口辛口を判定する場合には、他の要素で補って判定する必要があるのです。

そのように考えてくると、「甘口」「辛口」ということには、あまりこだわらない方がいいのかもしれませんね。

 

6. 日本酒の味わいを「含み香」で評価する

含み香とは、口に含んだ時に、鼻を抜けていく香りのことで、「アフターフレーバー」とも呼ばれます。
含み香は、その香りの現れ方を「低い」「やや低い」「中程度」「やや高い」「高い」で評価します。

他にも、口に残った香りを「口中香」、最後に残った香りを「残り香」といいます。

「含み香」を評価する場合は、香りの現れ方とともに、具体的な香りがどのようなものなのかも判定します。

例えば、薫酒ならリンゴやアプリコットなど果実系の香りがする、醇酒なら生クリームや米など乳製品や穀物類の含み香がする、といった感じです。
日本酒を飲む際には、味わいから発生する香りも楽しむと、また一味違った味わい方が可能です。

 

7. 日本酒の味わいを「余韻」で評価する

余韻は、最後に残る「後味」の長さを示す評価です。
余韻では、日本酒を「短い」「やや短い」「中程度」「やや長い」「長い」で評価します。
また、含み香と同じく、余韻の具体的な内容も判定します。

余韻の表現でポピュラーなものは「キレ」です。

「キレがある」といった場合には、後味の持続性が短いということを指します。
また、苦味やアルコールの刺激でシャープな口当たりになっている場合も「キレがある」と表現します。

旨味がどれくらい残っているか?そして、どんな刺激が残っているのか?を判断するのが余韻の評価です。

 

8. 日本酒の味わいを「複雑性」で評価する

複雑性とは、そのお酒の味わいが複雑なのかシンプルなのか、その程度に関する評価で、「シンプル」「ややシンプル」「中程度」「やや複雑」「複雑」で評価します。

これまで紹介した全ての要素を含めて、その味わいがシンプルか複雑かを判定します。

 

日本酒は8の要素を理解して味わおう!

今回は日本酒の味わいについて紹介してきました。

8つの評価要素を元に日本酒の味わいを紐解いていくと、より深く味わいについて理解できます。
これまで、なんとなく飲んでいた日本酒も、実は繊細な要素の組み合わせできているなんて驚きですよね。

もっとも、日本酒を飲むときにこの8つの要素を意識しながら飲む必要は全くありません。
「日本酒の味わい」を分解すると8つの要素に分けられる、ということだけ知っていれば十分です。

仮に、誰かに日本酒の味を伝える場合には、「旨み」がどんな感じなのかを伝えるだけでもよいのではないかと思っています(SSIのテキストでは「テクスチャ―(口当たり)」と「旨味」を重点的に評価することが推奨されています)。

味わいについて理解すると、これから日本酒を飲む際には少し違った観点から楽しむことが可能だと思います。
本記事で、日本酒の味わいに関する要素このことを知って、日本酒の味わいをより深く楽しめるようになれたら幸いです。

 

次回は、第5回「日本酒を香りで味わう!通になるための基礎知識を紹介!」です。

 

【参考文献】
日本酒サービス研究会・酒匠研究会連合会(SSI) 著『新訂 日本酒の基』 NPO法人FBO 2018年

 

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