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【日本酒事始め】お酒の基本は3種類!覚えておきたい知識を解説〈初心者向け!〉
- 2019/9/1
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『日本酒事始め』と題して、日本酒に関する知識を解説していく連載記事です。
第1回目の今回の記事では、お酒の基礎と題して、”3つの酒類”を解説します。
お酒についてもっと知りたいと考えている方は、ぜひ本記事を参考にしてみてください。
Contents
お酒は基本的に「3つの酒類」に分類される
お酒は、5000年以上昔に造られ、それ以来、世界各地で多くのお酒が造られ、そして飲まれてきました。
ビールやワイン、日本酒など、世界には原料や製法、色や香り、そして、当然、味の違う様々なお酒が数えきれないほど存在します。
そのようにたくさんの種類があるお酒ですが、大別すると、「醸造酒」「蒸留酒」「混成酒」の3つに分類されます。
お酒の分類方法には、原料に着目したり、アルコール度数に着目したりと、色々な分類方法があるのですが、お酒の基本として、この3つの『酒類』を覚えておくと、それぞれのお酒の成り立ちや特徴を理解しやすくなります。
【お酒の分類】
名称 | 具体例 |
醸造酒 | ビール ワイン 日本酒 など |
蒸留酒 | ウイスキー ブランデー など |
混成酒 | リキュール 梅酒 など |
お酒は基本的に、原料を発酵させて作る醸造酒、それを加熱して作る蒸留酒、さらに、これらを元に色々な原料を混ぜ合わせて作る混成酒の3つに分けられます。
世界には、多くのお酒が存在しますが、どれもこの3種類に分類可能なので、この3種類を覚えておけば、お酒の基礎を押さえられます。
醸造酒(じょうぞうしゅ)とは?
醸造酒は、3つの種類の中でも基礎となるお酒です。
原料には「米」や「果実」、「穀類」などが使われています。
それらの原料を酵母によってアルコール発酵させたものを醸造酒と呼びます。
アルコール度数は一般的に5%〜15%程度で、代表的なお酒はビールやワイン、日本酒などになります。
ちなみに、日本酒は醸造酒の中でもアルコール度数が高いお酒で、16~18%のものも多くあります。
醸造酒には「単発酵」と「複発酵」がある
そして、醸造酒を理解するうえで重要なのが「2つの発酵方式」で、主に、”単発酵酒”と”複発酵酒”に分けられます。
【醸造酒の発酵方式】
名称 | 種類 | |
単発酵 | ワイン など | |
複発酵 | 単行複発酵 | ビール など |
並行複発酵 | 日本酒 など |
発酵方式を理解するためには、まず、お酒はどのような原理で作られるのかについて知っておく必要があります。
そこで、ここでは、その原理「アルコール発酵」について簡単に説明しておきます。
お酒(「アルコール」が入っている飲み物)は、「酵母」と呼ばれる微生物が、「糖分」を分解して、「アルコール」と「二酸化炭素(炭酸)」を造り出すことによって作られます。これを、「アルコール発酵」といいます。
化学式にするとこんな感じです。
C6H12O6 → 2C2H5OH + 2CO2
糖分 アルコール 二酸化炭素(炭酸)
最近は発泡日本酒が人気ですが、一般的に日本酒というと炭酸が含まれているものはあまり想像されないように思われます。
しかし、先の化学式で表されているように、アルコールが作り出されるときには二酸化炭素(炭酸)が出るものなので、実は、発泡日本酒というものは最近になって作られたものではなく、昔から存在したのです(一般的に飲まれていたかどうかは別として)。
ここで重要なのは、「お酒は『糖分』から作られる」ということ。糖分がないとお酒は造れないのです(万事屋○さんみたいですね(笑))。
この点を踏まえた上で、2つの発酵方式について見ていきましょう。
「単発酵」方式とは?
「単発酵」方式とは、お酒の生成に必要な「糖分」が含まれている原料を使用してお酒を造りだす方式のこと。
「単発酵」方式で作るお酒は、原料に糖分が含まれているため、酵母のみでアルコール発酵が可能です。
この方式を使って作られているのが、「ワイン(ぶどう酒)」や「シードル(りんご酒)」になります。
「複発酵」方式とは?
こちらは、お酒の生成に必要な「糖分」が含まれていない原料を使用してお酒を造りだす方式のこと。
「複発酵」方式で作るお酒は、原料に糖分が含まれていません。
一方で、お酒の原料となる植物は、全て、程度の差こそあれ、「デンプン」を持っています。
この「デンプン」とは「炭水化物」のこと。
最近は「炭水化物ダイエット」などで避けられがちな「炭水化物」ですが、それは、「炭水化物」は「糖質(糖分)」と「食物繊維」でできており、胃や腸で消化されると、炭水化物が分解されて糖質(糖分)が体に取り込まれて身体を動かすエネルギーになる一方、余ったエネルギーは脂肪として体に蓄えられるから。
そこで、脂肪の元となる「糖質(糖分)」の、そのまた元である炭水化物を採らないようにすることでダイエットをしようとするのが「炭水化物ダイエット」です。
話が少しわき道にそれましたが、そんなわけで、お酒の原料となる植物は、お酒を造りだすために必要な「糖分」の元となる「炭水化物=デンプン」を持っています。
そのため、「複発酵」方式では、まず原料に含まれるデンプンを糖分に変え“その後”または”同時に”、糖分をアルコール発酵させることでお酒を作り出します。
複発酵方式には「単行」と「並行」がある
『”その後”または”同時に”』と意味ありげに書きましたが、この複発酵方式は、アルコール発酵させるタイミングにより、”単行複発酵方式”と”並行複発酵方式”という2つの発酵方式に分かれます。
「単行複発酵方式」は、デンプンを糖化した後にアルコール発酵を行って造られるお酒です。主にビールなどがこれにあたります。
一方の、「並行複発酵方式」は、糖化とアルコール発酵を同時に行って造られるお酒です。主に日本酒などがこれにあたります。
ここまでで例に出したワイン、ビール、日本酒は、「三大醸造酒」と呼ばれているので、覚えておくとよいでしょう。
蒸留酒(じょうりゅうしゅ)とは?
蒸留酒は、醸造酒を加熱することにより生じる湯気を集め、それを冷やしてふたたび液体に戻すことにより作られたお酒のことで、アルコール度数は25%〜40%程度と高めです。
なぜ、アルコール度数が高くなるのでしょうか?その理由は、蒸留酒を作る工程、蒸留にあります。
蒸留酒の製造工程
蒸留酒は以下のような工程を経て造られます。
1. 醸造酒の加熱
アルコール分が5~15%である醸造酒を蒸留器に入れて加熱します。
液体を加熱していき一定の温度(沸点)を超えると、液体は沸騰して湯気になる(気化)ので、沸点を超えるまで醸造酒を加熱します。
2. アルコールの気化
液体が沸騰して湯気になる温度は、液体ごとに異なります。
お酒は、液体だけに注目すると、アルコールと水でできていますが、アルコールの沸点は78.3℃、水の沸点は100℃で、アルコールの方が低い温度で湯気に変わり始めます。
アルコールが湯気になる温度(78.3℃)以上、水が湯気になる温度(100℃)未満で醸造酒を熱し続けると、原理的にはアルコールだけが湯気となり続けます。
実際には、アルコールだけが湯気になるわけではなく、水も一緒に湯気になるそうですが、水よりもアルコールの方が盛んに湯気になっているため、この湯気はアルコール分の多い湯気となるわけです。
3. 気化したアルコールの冷却
アルコールを多く含む湯気を、管を伝わらせて集め、冷却して沸点以下に下げると、湯気は液体に戻ります。この液体が蒸留酒です。
このように、蒸留酒は、醸造酒を沸騰させて、アルコールを多く含む湯気を集めて冷却し、液体にすることによって、アルコールが濃縮されるので、蒸留酒は元の醸造酒よりもアルコール度数が高くなるというわけです。
この蒸留を繰り返すことで、アルコール度数を60%以上に上げることも可能です。
ただし、最大値は「共沸」と呼ばれる現象によって、96%になります。
「共沸」とは、液体を沸騰させていったときに、液体の成分割合と気体の成分割合が同一となる現象のことです。
この現象が起こると、それ以上液体を沸騰させても、成分割合は変わらなくなります。
水とエタノールの場合は、アルコール濃度を96%まで上昇させると共沸の状態になり、そのため、96%超の蒸留酒を造ることはできないのです。
どの醸造酒を蒸留したかによってお酒の種類が変わる
例えば、ビールを蒸留するとウイスキー、ワインを蒸留するとブランデー、日本酒を蒸留すると米焼酎になります。蒸留酒にはほかにも、泡盛、ウォッカ、ジン、テキーラ、コニャックなどがありますが、それぞれどのような醸造酒から作られているのか、調べてみるのも面白いでしょう。
混成酒(こんせいしゅ)とは?
混成酒は、一般的には「リキュール」と呼ばれるもので、醸造酒や蒸留酒を原料として、「果実」や「香草」、「ハーブ」などの成分を配合して作られるお酒です。
アルコール度数は、原料となった醸造酒や蒸留酒によって異なります。
混成酒は原料によって4つのカテゴリーに分けることが可能です。
【混成酒の種類】
名称 | 種類 |
ハーブ系リキュール | カンパリ ガリアーノなど |
果実系リキュール | コアントロー グランマルニエなど |
ナッツ、種子系リキュール | アマレット マリブなど |
その他原料のリキュール | ヨーグリーと ベイリーズなど |
さらに、製造方法は下記の4つに分けられます。
【混成酒の製造方法】
- 蒸留法:原材料とお酒を一緒に蒸留する方法
- 浸漬法:原材料をお酒に漬け込んで成分を抽出する方法
- パーコレーション法:コーヒーと同じ香りを熱湯やお酒で循環させて抽出する方法
- エッセンス法:天然または人工のエッセンスオイルをお酒に添加する方法
このように、混成酒は醸造酒や蒸留酒に比べて、原料および製造方法が豊富なため、世界各地に多くの種類が存在します。
お酒の基本である3つの種類を覚えて理解を深めよう!
お酒の基礎である、3つの酒類について紹介してきました。
大きな分類としては「醸造酒」「蒸留酒」「混成酒」の3つですが、原料や製造方法などによって幅広い種類に分かれます。
お酒の基礎を知っておくと、今後お酒を飲む際に役立つことが多いと思います。
本記事を参考に、どのようなお酒があるかを知って、これからお酒を飲むときに思い出していただければ幸いです。
次回は、第2回「すぐわかる!代表的な6種類のお酒の造り方や特徴を解説!」です。
【参考文献】
NPO法人FBO 日置晴之/大森清隆/板場正義/長田卓 著『もてなしの基(MOTOI)』 NPO法人FBO 2017年
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