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【日本酒事始め】世界に羽ばたく日本酒!各国の料理と日本酒の相性の良い組み合わせをご紹介!!
- 2019/11/26
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これまで12回にわたって『日本酒事始め』と題して、日本酒に関する基礎知識について解説・紹介してきましたが、今回がひとまずの最終回となります。
前回の記事「日本酒と和食!相性の良い組み合わせはどれ?味のタイプ別に紹介!」では、和食と相性の良い日本酒の味のタイプについて、料理ごとに紹介いたしました。
最終回の今回は、今や「SAKE」と呼ばれて各国で飲まれている日本酒にふさわしく、『日本以外の各国料理と日本酒の組み合わせ』についてご紹介していきたいと思います。
近年、日本酒の輸出額が増えています。
次のグラフは、財務省の貿易統計から作成した、日本酒の年度別輸出状況です。
(単位:キロリットル/百万円)
これによると、2018年の日本酒輸出額は約222億円、輸出量は2.6万キロリットル。
2009年の日本酒輸出額が約72億円、輸出量は1.2万キロリットルだったそうですから、金額ベースでは約3.1倍、輸出量は2.2倍に増加した計算になります。
こちらは、輸出数量の上位10か国。
主な輸出先はアメリカで、数量では約23%、金額では全体の約28%を占めており、以下、輸出数量では、韓国、中国、台湾と続きます。
たまにネットニュースなどで、フランス料理に合うお酒として日本酒が認められたとか、ヨーロッパで高い評価を受けている的な話題を見かけることがありますが、上位10位以内にはヨーロッパの国は1か国も入っていませんね。
ちなみに、ヨーロッパの国はドイツが11位、イタリアが12位、イギリスが13位、フランスは15位です。
こちらは、先ほどの国別輸出状況のデータを、Excelの3Dマップを使って地図にプロットしたものです(3Dマップの仕様で、見慣れた日本中心の地図にはなっていません)。
この地図を眺めると、日本酒は東南アジアなど、環太平洋の国々に多く輸出されていること(画像では枠外にあるニュージーランドにも輸出されています)、数量は少ないながらもヨーロッパ各国にも輸出されていることが分かります(在留日本人の人数と同様の分布をしているようにも思われますが)。
このように、いまや世界各国に輸出されるようになった日本酒ですが、はたして、世界各国の料理にも合うのか、合うとすると、どんな料理にどんな日本酒が合うのか。
それを紹介するのが今回の記事のテーマです。
現代では、各国の料理を提供するお店ができたり、ネット上で各国の料理のレシピが入手できたりするので、日本以外の国々の料理を味わう機会が多くなっていると思います。
そうした機会がある時に、ぜひ、本記事を参考にしてみてください。
それでは、まずは、各国の料理に日本酒は合うのか、ということから始めていきます。
Contents
日本酒って和食以外の料理に合うの?
結論から言うと「合う料理もあれば、合わない料理もある」となります。
すき焼きに赤ワイン、刺身やお寿司に白ワインを合わせるなど、和食にワインを合わせるように、日本酒を和食以外の各国の料理に合わせることはもちろん可能です。
ただ、『お酒と料理が「合う・合わない」とは?知っておきたいお酒と料理の相性の基礎知識』の記事でもご紹介した、『数の子と白ワイン』のように、相性の悪い・合わない組合せというのも存在します。
基本的に、お酒と料理が「合う」というのは、お酒と料理の味の方向性・性質が同じになっているものをいい、お酒と料理が「合わない」というのは、お酒と料理の味の方向性・性質が異なっているものをいいます。
『日本酒の味は「4つのタイプ」に分けられる!』の記事でも紹介していますが、日本酒はその「味わい」と「香り」により4つのタイプに分類することができ、各タイプに対して相性の良い料理というのがあります。
それをまとめたのが下の表です。
日本酒の味のタイプ | 特徴 | 相性の良い料理 |
薫酒 | 香り高く、華やかな味わい | 前菜、柑橘類や香草類などを使った料理 |
爽酒 | 香り控えめで、すっきりした味わい | いろいろな料理と相性が良い。特に、軽い味付けの料理、脂っこい料理など |
醇酒 | 香り控えめで、コクのある味わい | 魚介類を使った料理、煮込み料理、コクや旨みが強い料理 |
熟酒 | 香り豊かで、重厚な味わい | 肉料理、生ハムやチーズなどの燻製や発酵食品、デザート類 |
もちろん、例外はありますが、基本的にはこうした関係性がありますので、料理に合わせる日本酒を選ぶときには、この表を参考にして選んでみるとよいと思います。
このセオリーを踏まえた上で、以降では、具体的に、どの国の料理とどのタイプの日本酒が合うのかをご紹介していきたいと思います。
西洋料理
和食がユネスコ世界無形文化遺産に登録されたことにより、西洋料理の世界でも日本の食材や調味料を使用したり、和食の核となっている「旨味」を取り入れた料理が生み出されるようになりました。
そして、西洋料理に日本酒を合わせようとする動きもみられるようになってきています。
そこで、ここでは、西洋の主な各国料理と日本酒の組み合わせについてご紹介していきます。
フランス料理
美食の代名詞のような、世界三大料理の一つ、フランス料理。
私たちがイメージするフランス料理は「オートキュイジーヌ(高級料理)」と呼ばれる、日本で言えば会席料理などに当たる料理で、フランスの絶頂期である17世紀頃、ルイ14世の時代に成立したフランスの料理の中の一類型です。
このフランス料理では、ソースが重視され、そのソースのベースとなるのが「フォン」とよばれるもので、日本料理で言うところの「だし」に当たります。
日本料理では、「だし」は鰹節や昆布でとるのが基本ですが、フランス料理では、牛や鶏などの動物の肉・骨と野菜を煮て作ります。
使う材料や調理方法は若干異なりますが、フランス料理も日本料理と同じく「だし」をベースにして料理が作られているわけです。
こうした、「だし」の旨みが効いている、コクのある料理には純米酒などの「醇酒」が適しているといえるでしょう。
フランス料理といえばバターやチーズ
そして、フランス料理といえばバターやチーズなどの乳製品を使った料理が思いつきます。
乳製品を使用した料理には、同じく乳酸菌を用いて造られるお酒が合うのですが、日本酒の中では『生酛』『山廃酛』で造られたものが、この乳酸菌を利用して造られたお酒になるため、こうした料理には、『生酛造り』『山廃酛造り』と銘打たれた日本酒が適しています。
福島のお酒『大七 生もと純米酒』などが『生酛造り』の日本酒の代表的な銘柄になります。
フランス料理でチーズというと、「フロマージュ(チーズ)とワインのマリアージュ」という言葉があるように、肉料理の後、デザートの前に、甘めの食後酒とともにチーズを楽しみます。
この時提供されるのは、個性的な味の色々なチーズが供されるわけですが、そうした「フロマージュ」に日本酒を併せてみることもできます。
その際は、チーズの種類によって日本酒のタイプを変えると、より良い相性で楽しむことができます。
例えば、白カビや青カビチーズなどはカビを利用して造られているチーズですが、日本酒も同じく「麹」というカビ菌を使って造られたお酒ですので、全てがすべてではありませんが、相性が良いといえるでしょう。
他にも、乳酸菌を利用したチーズには、同じく乳酸菌を利用して造られる『生酛造り』『山廃造り』の「醇酒」が好相性です。特に、カマンベールやブリーなどの白カビ系のチーズと相性が良いようです。
寒い日には燗で楽しむと、クリーミーさが同調して違った味わいが楽しめるようです。
チーズの中でも青カビの「ロックフォール」やウォッシュタイプの「ポンレベック」など、個性的で濃醇な種類には、同じ特徴を持つ「熟酒」が適しています。
その他の料理との相性は?
他にもまた、フランス料理というと、フォアグラやトリュフなどを使用した料理を思い出しますが、こうした料理は「熟酒」と相性がよいようです。フォアグラであれば濃厚な旨み、トリュフであればその豊かな香りが「熟酒」の特徴と方向性が一致するためです。
フランス料理といえば、デザート類も見逃せません。
一般的にデザートに日本酒は合わないように感じますが、個性的で深い味わいが特徴の「熟酒」や、濃醇な甘みを持つ「貴醸酒」は合うといわれています。
イタリア料理
イタリア料理は日本酒と相性の良い料理が多いです。
これは、福岡にあるとあるお店のシェフのお考えですが(こちらの記事も参照してみてください)、イタリアと日本は海が近くて海鮮がおいしく、野菜も肉も新鮮なものが手に入りやすいため、調理技術で料理に味を加えなくてもおいしい料理になることから、イタリア料理も日本料理も『素材の持ち味を活かす調理』が基本的な考え方になっているそうで、そのため、イタリア料理には日本酒が合うのだそうです。
例えば、新鮮な海産物を使った「アクアパッツァ」や、お米を使った「リゾット」などは、日本料理に近いため、さまざまな日本酒と好相性です。
イタリア料理で代表的な「バジル」や「トマト」を使った料理には、香り高く軽やかな「薫酒」が適しています。
また、「プロシュート(生ハム)」には、同じくコクのある「熟酒」がおすすめです。
フランス料理と同様に、イタリア料理でもピザや「トマトとモッツァレラのカプレーゼ」などのチーズを使ったものが色々とあります。
こうした料理では、カプレーゼなどの香草の香りがあるものには同じく香り高い「薫酒」が合いますし、チーズの味が強めの料理には、『生酛造り』『山廃造り』の「醇酒」が適しているでしょう。
他にも青カビタイプの「ゴルゴンゾーラ」には、ハチミツやドライフルーツを添えて、個性的な「熟酒」と合わせるのもよいでしょう。
その他の西洋料理
フランスやイタリア料理以外の西洋料理にも、料理との調和を基本とした相性の良い日本酒が存在します。
スペイン料理の熟成した「ハモンセラーノ(生ハム)」には「熟酒」、お米を使った「パエリア」には、幅広いタイプの日本酒が適しています。
ドイツ料理のハムやソーセージにはコクのある「醇酒」や「熟酒」がおすすめです。
ロシア料理の酢漬けや塩漬け、燻製料理には「醇酒」が好相性といえるでしょう。
他にも、アメリカでは、『サラダ・ボウル』といわれるように、各国からの移民やビジネスで入国した人が多く、そうした人達が独自の文化を維持していることから、「フュージョン料理(無国籍料理)」と呼ばれる、様々な国の料理が融合した料理が人気です。
今ではすっかり「寿司」として認知されている感のある「カリフォルニア・ロール」などもこの「フュージョン料理」の一種といえるでしょう。
こうした料理には、幅広くいろいろな料理に合う「爽酒」がおすすめです。
また、スパイシーで濃厚な料理には、「熟酒」を合わせるのがよいでしょう。
中国料理
世界三大料理の一つ「中国料理」。
「中国料理」と一口に言っても、日本やフランス、イタリアなどと異なり、広大な国土を持つ中国では、多様な自然環境に、多様な民族が暮らしているため、料理も地域によって違いが非常に大きいです。
中国では、8つに分類されることが多いそうですが、日本では、「北京料理」「四川料理」「広東料理」「上海料理」と中国料理を4つに分類することが多いので、ここでは4分類でお話を進めていきます。
北京料理
北京の宮廷料理と黄河以北の地域の料理です。
この黄河以北の地域は古来、「中原」と呼ばれ、黄河文明が発祥して以来、歴代の中国王朝が首都を置いてきた地域です。
そのため、各地の食材や料理人が集められて様々な料理が融合し、宮廷料理として、華やかで繊細な料理が発達してきました。
また、この地域は降水量が少ないため、稲作には向かず、主に小麦の栽培と牧畜が盛んでした。
気温も南方の地域に比べると低めであるため、その料理は小麦と獣肉(羊・豚・鳥)をメインとした、濃厚な味わいの料理が多くなっています。
北京ダックなどはその例でしょう。
こうした料理には、コクのある日本酒、「醇酒」や、「老酒(紹興酒)」に似た特徴を持つ「熟酒」がおすすめです。
また、油で重たくなった舌をすっきりさせたいのであれば、「爽酒」を合わせるのがよいです。
四川料理
中国西部、四川省を中心とした地域の料理です。
中国料理というと、まずは、回鍋肉や青椒肉絲など、油を使って炒めた料理が思い浮かびますが、これらは四川料理に分類されます。
私たち日本人が中国料理といって真っ先に思いつく料理の多くは、四川料理由来のものが多いですが、これはWikipediaによると、戦後、東京で四川料理店を開いていた陳健民さん(料理の鉄人、陳健一さんのお父さんです)が、日本人向けにアレンジした四川料理をNHKの料理番組で紹介して日本全国に広まったためだそうです。
さて、回鍋肉や青椒肉絲のような料理は油や味付けの濃厚さが特徴的ですが、これには、おなじく濃厚さが特徴の「醇酒」が、相性が良いです。
また、油っこさをリセットするために、リセット・ウォッシュ効果のある「爽酒」を合わせるのもよいでしょう。
また、麻婆豆腐に代表されるように、濃厚な味わいで香辛料を使った四川料理には、濃厚な味わいやスパイシーな香りを持つ「熟酒」が合います。
上海料理
揚子江が流れ、東シナ海に面する上海周辺地域の料理、上海料理。
この地域では、八宝菜など、新鮮な魚介類を酒や醤油、砂糖などの調味料を使って甘く濃厚に仕上げるものが多いため、「爽酒」や「薫酒」が好相性です。
広東料理
「飛ぶものは飛行機以外、海の中のものは潜水艦以外、四つ足のものは机と椅子以外、何でも食べる」と言われる、香港も含む、中国南部の料理である広東料理。
この地方では、日本やイタリアと同じように、暖かい気候が育てる新鮮な野菜類と、南シナ海で獲れる新鮮な魚介類に恵まれているため、広東料理は、素材の味を活かした比較的薄味な料理が多いです。
こうした、素材の味を活かした比較的薄味な料理には「爽酒」が合いますし、また、オイスターソース、XO醤、魚醤などを用いた料理も広東料理にはあり、こうした旨みが凝縮された調味料を使った料理には、おなじく旨みのある「醇酒」を選ぶとよいでしょう。
また、広東料理の代表的なものに、高級料理として知られるフカヒレの姿煮がありますが、この特徴的で濃厚な味わいの料理には、同じく特徴的で濃厚な味わいの「熟酒」を合わせてみるとよいでしょう。
台湾料理
台湾料理は、福建料理がベースとなっていますが、1895年以降50年間の日本統治時代に日本料理が流入し、さらに1945年の日本統治時代が終了した後には、国共内戦に敗れた蒋介石率いる、中国各地の人々を兵士としていた国民党軍が台湾に逃れてきたことから、中国各地の料理も入ってきて、そうしたものが混ざり合い融合してできたものが、現在の台湾料理です。
台湾の風土は日本と同じように周囲を海に囲まれ、内陸部には3,000メートル級の山が南北に走っています。
余談ですが、日本が台湾を支配していたころは、日本一の山は富士山(標高:3,776m)ではなく、台湾にある玉山 (標高:3,952m、旧称:新高山)でした。
1941年12月8日に日本はアメリカ・ハワイの真珠湾攻撃を行って太平洋戦争を始めましたが、その作戦開始の暗号電文である『ニイタカヤマノボレ一二○八』でいうところの「ニイタカヤマ」がこの玉山のことです。
そのように、日本に似た自然環境と日本統治時代があったということなどもあり、台湾料理は日本人にもなじみやすく、日本酒とも合いやすいと言えるでしょう。
台湾料理では、小皿料理や屋台料理が多く、味付けが多様なため、相性が幅広い「爽酒」を合わせるのがよいでしょう。
油を多用する中国の料理とは異なり、比較的淡白で繊細、味付けもそれほど濃くない料理が多くあります。
こうした料理には、すっきりした味わいが特徴の「爽酒」と相性が良いです。
また、屋台料理などでは旨みの強い料理も多いので、そうした料理には、同じく旨味が多い「醇酒」を合わせるとよいでしょう。
エスニック料理
エスニック料理は、アジア、中近東、アフリカなどの料理のことを指します。
「エスニック(ethnic)」とは「民族特有の」と訳されますが、その根本には、「ヨーロッパの文化圏にいる人とは異なる」というのがあるので、本来的には、中国料理や日本料理も含めた、非ヨーロッパ圏の料理をまとめて「エスニック料理」といいます。
「ヨーロッパ中心的」な言葉ですが、これが日本に入ると、その「エスニック」の対象から日本は除外されてしまうのですから、言葉とはなんとも面白いものです。
それはさておいて、日本で言うところの「エスニック料理」では、「辛さ」や「魚醤、香菜、香辛料を使ったインパクトのある風味」が特徴になっています。
癖のある味の料理が多いジャンルですが、同じアジア圏ということもあり、日本酒と相性のいい料理も多いです。
近年では、料理店で食べる機会が多くなっているジャンルでもありますので、機会があれば、日本酒とも合わせて楽しんでみてください。
韓国料理
韓国料理といえば、キムチをはじめとする辛さがメインの料理が多いです。
キムチはアミの塩辛など、魚介類やニンニクなどと一緒に野菜を付けて造る発酵食品で、濃厚な香りと味わいが特徴です。
こうした発酵食品に合わせるなら、深い旨みが同調する「醇酒」が適しています。
また、乳酸発酵に焦点を当てるなら『生酛造り』『山廃造り』の「醇酒」が良いでしょう。
チゲ鍋などの辛さの強い料理に合わせるなら、ドライな後味を持つ「爽酒」とも相性が良いです。
逆に辛味を和らげたい場合には、辛みの少ない「低アルコールの日本酒」や軽快な甘味や酸味を持つ「スパークリング日本酒」がぴったりです。
韓国料理には、日本の「にごり酒」に似た「マッコリ」も存在します。
普段からにごり酒を飲まれている方は、マッコリと合わせる韓国料理を参考に、適した組み合わせを探してみるのもおもしろいのではないでしょうか。
韓国料理は、日本酒と相性の良い料理のジャンルとなるので、上記を参考に自分好みの組み合わせを探してみてください。
ベトナム料理
近年、経済成長著しいベトナム。
日本でも、スーパーのお総菜コーナーで生春巻きを見かけたり、フォーのカップ麺が販売されるなど、ベトナム料理が比較的身近な存在になってきています。
ベトナム料理には、
- 魚醤である『ニョクマム』を味のベースとしている
- 生春巻きのようなお米を使った料理が多い
- 油を使用しない料理が多い
という特徴があります。
日本の料理でも上記のような特徴が挙げられることから、和食と同じように幅広い日本酒と合わせやすいジャンルといえるでしょう。また、ベトナム料理には、香草や野菜を多用した料理が多いです。
こうした香草や野菜を使った料理には、香り華やかな「薫酒」を合わせると、料理とお酒の方向性が一致するため、料理とお酒が合うことが多いです。
タイ料理
タイ料理は、ココナッツミルクや唐辛子を多用しており、風味が強い料理が多いため、風味がそれほど強くない日本酒を合わせるのは比較的難しいです。
ただ、爽やかな甘味と酸味を持つ「スパークリング日本酒」であれば、強い風味を和らげることができるため、比較的相性が良いと言えます。
また、日本酒の中には、「竹葉 純米酒」のような、しっかりとした旨みがあるお酒もあります。
こうしたお酒であれば、強い風味の料理とも調和してくれるでしょう。
タイ料理では、魚醤「ナンプラー」を使った料理もあります。
魚醤を使った料理といえば、日本にも「しょっつる鍋」などがあり、こうした料理にも日本酒は相性が良いため、日本酒を併せてみるのもいいでしょう。
その際には、同じく旨みが特徴の「醇酒」と組み合わせるのがよいでしょう。お酒と料理を合わせる時は、タイプが同じもの同士を組み合わせるのがコツです。
インド料理
インド料理といって真っ先に思いつくものとしてはカレーが挙げられるでしょうか。もっとも、カレーはもはや日本料理の感もありますが。
中国と同じように広い国土を有し、民族も多様な上に、宗教的多様性もあるのがインドの特徴で、同じ民族でも宗教・宗派が異なれば口にできる食材も異なってくるため、インド料理も実際には非常に多様なものとなっており、私たち日本人になじみのあるインド料理は、主にインド北部の料理であるようです。
そのため、ここでは日本でなじみのあるインド料理に焦点を当てていきますが、そうしたインド料理では、カレーに代表されるように、様々なスパイスやハーブを使った濃厚な味わいの料理であることが特徴で、タンドリーチキンやカバブ、キーマなどがその例になるでしょう。
こうしたスパイシーな料理には、同じくスパイシーな香りと濃醇な味わいを持つ「熟酒」を合わせるとよいでしょう。
また、濃醇な味わいで舌が鈍くなるような場合には、ドライな味わいが特徴の「爽酒」を合わせて、舌をリセットするといった組み合わせ方もよいでしょう。
まとめ
今回は、『世界に羽ばたく日本酒!各国の料理と日本酒の相性の良い組み合わせをご紹介!!』と題して、各国の料理と日本酒の組み合わせ方について紹介してきました。
世界は広く、国によって風土が異なり、風土が異なれば食材も異なり、そして、当然のことながら、作られる料理も異なってきます。
それゆえに、世界には様々な料理が存在し、各国・各地でそれぞれの料理に合うようなお酒が造られてきました。
しかし、技術が発達した結果、世界中の人々が各国を行きかうようになり、いろいろな料理・お酒を味わえるようになりました。
そうした文化の交流の中で、それまでは考えられなかった、異なる国の料理とお酒を組み合わせるということが行われるようになりました。
日本でも、外国で造られたワインが輸入され、お寿司や刺身に白ワインを合わせることが普通になってきました。
一方で、『和食』が世界無形文化遺産となって、日本酒に対する関心が世界中で高まる中で、日本酒は世界各国に輸出されるようになっています。
日本酒を世界各国の料理に合わせることも普通のことになるかもしれません。
もちろん、各国の料理を楽しむときには、その国のお酒と組み合わせるのが一番だとは思います。
しかし、一方で、世界の一体化が進む中、時には、各国の料理に日本酒を合わせてみて、これまでには経験できなかった、料理とお酒の新境地を発見してみるのも楽しいのではないでしょうか。
本記事が、そんな新しい料理とお酒の楽しみ方を始めるきっかけとなれましたら幸いです。
さて、本連載も今回の記事で一応、終わりです。
本連載では、日本酒の基礎知識の内、日本酒がどういうお酒で、どんな楽しみ方があるかというところにテーマを絞って紹介してきました。
この他に、日本酒の製造や歴史についても語ると、日本酒の基礎知識を一通り網羅することになるのだと思っていますが、それらはまた機会を改めて発表できればと思っています。
掲げたテーマについて全てのことを網羅したわけではありませんが、その中で必要なことは一通り書ききったのではないかと考えています。
本連載の記事で書かれていることを読んで、読者の皆さんが日本酒をのことをより深く知ることができたり、よりおいしく味わえたり、そして何よりも、それによって楽しく、幸せになれたら、執筆者としてこれ以上の幸せはありません。
この記事が皆さんの素敵な日本酒ライフに役立ちますように祈りつつ、本稿を閉じたいと思います。
管理人 敬白
【参考文献】
- 日本酒サービス研究会・酒匠研究会連合会(SSI) 著『新訂 日本酒の基』 NPO法人FBO 2018年
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